ネット集客初心者のころ、最初に覚えたこと(解析・目標設定編)
ネット集客を成功させたいなら行き当たりばったりではダメ
お金を作って自分のウェブサイト(ホームページ)を作ったが、そこからの問い合わせが思ったより少ない...、もしくはない...といった悩みを持っている士業の方は多いのではないでしょうか。
よし、じゃぁ今日からネットでの集客を強化しよう!...と決意を新たにしても何も変わりません。何もしないよりましだから、とりあえず何かやってみよう!と思っても何をどうしていいのか分からず途方に暮れてしまうのではないでしょうか。
僕個人の体験では、こんなふわっとした状態でウェブ担当者生活が始まったので、途方に暮れました(笑)。
決済権をもった士業の先生方で言えば、よく分からない「うぇぶこんさるたんと」的な業者の言いなりになって投資したあげく、手間とお金をかけた割には何も変わっていない...ということになりかねない危険な状態です。
ウェブからの問い合わせが少ない原因は、いろいろあって、その分だけ対策があります。原因にあった対策が打てればいいのですが、間違っていればお金と時間のムダになる可能性が大きくなります。
逆に課題が分かっていれば、業者の営業トークに惑わされることなく、自分の問題を解決してくれる技術を持ったコンサルタントや業者を探すことができて、適切な対策を打つことができます。
この記事では時間とお金をムダにせずにネット集客を強化したい方のために、ネット集客を強化するための手法や考え方を整理してみたいと思います。
まずは、現状を把握して、問題を明らかにすることから
今の時代、資格をとって開業したら、ご自身のウェブサイト(ホームページ)を作る方がほとんどだと思います。形はブログでもサイトでもなんでもよいです。何かしら既にあるという前提で解説します。
要素に分けて因数分解をすると分かりやすくなる
ウェブで集客をしてお客さまを増やすには、いくつかポイントがあります。
大きく分けると、2つのポイントがあります。
- ウェブサイトを見つけてもらって、訪問してくれる人を増やす。
- 訪問してくれた人が、お客さまになってもらう確率を上げる。
税理士の方だと経営者とお話する時に、ビジネスモデルを因数分解して解説したりしませんでしょうか。「客数×客単価=売上」みたいな。ネット集客でも要素を分解すると、理解がしやすくどこに問題があるか把握しやすくなります。
ネット集客を因数分解すると、
サイトを訪問した人の数×訪問した人がお客さまになる確率=増えたお客様の数
となります。
これを専門用語で表すと、
アクセス数×コンバージョン率=コンバージョン数
となります。
「ウェブサイト(ホームページ)からの問い合わせがない」という問題の原因は、この公式の通り上記の2つのポイントのどちらかにあります。
つまり、アクセスが少なすぎるか、アクセスしてきた人の問い合わせをする確率が低すぎるかのどちらかです。
アクセス数が少ないことが問題なのに、お客様の心に刺さるキャッチコピーを一生懸命考えてサイトのトップ画像を変えてみたりしても、あまり効果はありません。
反対に、コンバージョン率が低いことが問題なのに、SEOや広告にお金をかけてアクセスを集めても、お金の無駄になるだけとなります。
つまりウェブ集客を成功させるには、
- どちらに原因があるのか特定して、
- 原因を特定したら、それを取り除くために適切な対策を実行する
ことが必要です。
アクセスの内容を数字で把握しよう
原因を特定するための第一歩は、現状を把握することからです。
税理士の仕事でも、お客さまに何か問題が起きて相談された時、まずは現状を把握するためにお客さまの話しを整理して何が起きているのか把握します。税理士にかぎらずどんな仕事でも基本のことですよね。
ネット集客でいうところの現状把握とはなんなのか。それは、アクセス解析です。
アクセス解析とは、ご自身のホームページのデータを取得して、サイトに訪れた人が何人いたのか、どんな方法でたどり着いたのか、どういう行動をとったのかを追跡することです。
そして、そのようなデータを分析して、もっと良いサイトにするにはどうしたらいいのか、訪問者を増やすにはどういう方法があるのかを見つけるのが最終的な目的になります。
アクセス解析をするには、解析ソフトをサイトに導入する必要があります。
解析ソフトは有料のものから、無料のものまでたくさん存在しています。その中でも特に有名で広く使われているのが、グーグルアナリティクス(Google Analytics)という無料のサービスです。
Google アナリティクス公式サイト - ウェブ解析とレポート機能 ? Google アナリティクス
無料のサービスですが、とても高機能です。基本的なことはすべて計測することができるので、特別な理由がない限り、このサービスで事足りてしまうほどです。
このグーグルアナリティクスをご自身のウェブサイトに導入して、アクセス解析ができるようにしましょう。それが、現状把握の第一歩です。
アクセス解析ツールで計測できない大事な数値
グーグルアナリティクスは、お客さまがサイトにアクセスしてから問い合わせをするまでの行動を計測するのにとても便利なツールですが、完璧にすべてを計測してくれるわけではありません。
通常、税理士をはじめ士業のビジネスでは問い合わせがあってそのまま成約になることはあまりありません。一度会ってお話なり見積りをだしてから成約に至ります。
アクセス解析ツールはあくまで、問い合わせをするまでを計測するものですので、問い合わせ後に成約に至るまでは、ご自身で計測する必要があります。
また、電話での問い合わせはアクセス解析ツールで完璧に把握するのは困難でもありますので、電話問い合わせも自分で計測します。
計測と行っても、Excelなどで問い合わせのあった日や、問い合わせの方法、面談をした日、成約に至ったかどうかなどを表に記録するだけで大丈夫です。
しかし、成約に至ったかどうかまでを計測することはとても大事なことですので、絶対に行いましょう。
課題を見つけて、適切な対策を考える
数値を計測して、現状を把握することができたら、その数字を利用して集客の課題を見つけます。そうすることで、数字に基いた根拠のある対策を打つことができます。
アクセス解析の数値の解説
グーグルアナリティクスを開くと、左側ツリーの「ユーザー>サマリー」というタブが開かれていると思います。
ここにはウェブサイト(ホームページ)にどれくらいの人が訪れて何ページ閲覧されているのかなど、現状を把握する為の基本的な数値が載っています。?
セッション数・・計測期間中にウェブサイト(ホームページ)が開かれた数です。アクセスされた毎に計測されます。同じユーザーが別のタイミングでアクセスした場合、都度セッション数として計測されます。
ユーザー数・・ウェブサイト(ホームページ)に訪れた人の数です。同じ人が同じ日に複数アクセスしてもユーザー数は、1とカウントされます。なので、ユーザー数はセッション数より必ず少なくなります。
ページビュー数・・閲覧されたページの数です。よくPVと略されます。
ページ/セッション・・セッションあたりのページビュー数の平均です。サイトにアクセスした人が平均何ページを閲覧するかが分かります。
平均セッション時間・・セッションあたりのサイトへの滞在時間の平均です。サイトにアクセスした人がどれくらいサイトに滞在しているかが分かります。
直帰率・・最初に開いたページ(ランディングページ)を読んで、すぐにサイトから去ってしまったセッションの割合です。
新規セッション率・・セッションあたりの新規の訪問者の割合です。右の円グラフが新規訪問者とリピーターの割合を表しています。
このへんの数値は今、サイトにどんな状態なのかを知る基本的な項目なので意味を覚えておきましょう。
数値の見方、課題を設定する方法
グーグルアナリティクスは上記以外にも様々な項目を計測しています。それぞれに意味があって分析に使えるので、ウェブサイトの様々な課題を明らかにしてくれます。使いこなすと協力ですが、とても奥が深いものです。
いきなり使いこなす必要はありません。基本的な数値を押さえて、課題をクリアしていけば結果が付いて来ます。ここでは基本的な分析の仕方を解説します。
セッション数のチェック
ホームページやブログは、定期的に更新していれば基本的には継続的にセッション数は増加するものです。更新をしているのにも関わらずいつまでたってもセッション数が増えないのはアクセス数の集め方に問題がある可能性が高いです。
ページビュー数のチェック
通常の士業事務所のホームページやブログでは、お客さまは問い合わせを前に最初に開いたページからサイト内を移動して、色んなページを読んでから問い合わせをします。ですので、セッション数が増えた場合、それ以上にページビュー数が増えるのが理想的です。
セッション数に比べてページビュー数が少ない場合は、お客さまになる見込みの低い人を呼び込んでしまっているか、お客さまが最初のページを見て興味を失ってしまっている可能性があります。
ページ/セッション数、直帰率、平均セッション時間のチェック
これら3つは互いに相関関係にある部分が多いです。どれか一つを改善すればその他の2つも改善されます。そして、結果としてページビュー数が増えることになります。ページビュー数を増やすための施策が上手く行っているかチェックするのに使えます。
ただ、直帰率は低いが、ページ/セッション数と平均セッション時間の数値がよくないだとか、ページ/セッション数は多いけど、直帰率も高いなど個別のケースからサイトにどんな課題があるのか分かる場合もあります。
ここまでが基本の項目から読み取れることです。(もちろん、すべてではありません。)
判断基準となる目標をたてる
グーグルアナリティクスを導入してアクセス解析ができるようになっても、標準とか目標の値がないと、自分のサイトが良いのか悪いのかが判断できませんね。
経営の指標にROIやROEといった投資回収率の指標があって、数値を元に経営の良し悪しを図るように、ネット集客の世界にも指標になる数値があります。
目標となる指標の数値を決めて、現状と目標を近づけるためにアクセス解析をして改善を繰り返していくわけです。
そうすると、どれくらいの数値を目標に設定すればいいのかが次のテーマになります。
ネット集客では、サイトの目的などによって目標の数値が変わることがあります。
例えば、
・「契約前提の面談や相談」をしてもらうのを目的としたサイトと、
・「資料請求や、無料冊子プレゼント」の申し込みを目的としたサイトでは、
目標に設定するコンバージョン率は変わります。後者の方がコンバージョン率は高くなります。
所謂、事務所のホームページで、契約を前提に税理士を探している人向けに、問い合わせや相談を受け付けるのをコンバージョンと設定するならば、コンバージョン率1%を目標にするといいと思います。
さらにここから発展させると、月に5件の問い合わせが欲しいとして、コンバージョン率が1%と仮定すると、月に何アクセス必要か...も計算できますよね。
目標のコンバージョン率と問い合わせ数に対して、サイトへのアクセスは足りているのか、いないのかをチェックするなど、アクセス解析を役に立てるには、目標設定が大切です。
どちらも改善したい場合の優先順位
アクセス数も増やしたいし、コンバージョン率も高めたい場合にはどうしたらいいでしょうか。そのような場合もあります。というか、最初のうちはサイト自体が育っている途中ですので、あたりまえのことですね。?
優先順位を付けるとしたら、コンバージョン率を高めるべきだと考えます。このような時はゴールや目的から逆算して考えるのが良いです。
ネットで集客する目的とはなんでしょうか。それは、お客さまを増やすことです。
ネットで集客してお客さまを増やすにはどうしたらいいでしょうか。逆算で考えると、サイト(ホームページ)から問合せをしてもらうことが必要です。
仮に、問い合わせを知らもらえないサイトに、いかなる集客手段を駆使して人を集めても、お客さまが増えることはありませんよね。
ということで、優先順位を付けるとしたら、コンバージョン率を高める施策を先に行うべきと言えます。
ここまでで、勘の良い方の中には、アクセス数を集めないとコンバージョン率を高める施策の根拠となる数字やデータが集まらないじゃないかと思った方もいるのではないでしょうか。
アクセス解析で集めたデータが少ない段階では、根拠となる数字がありません。そんな場合は、過去のデータの蓄積から生まれた原理原則を使います。
ネットの世界が生まれるまえからあるチラシの原則や、ネットの世界が生まれてから確立された原則など様々ですが、過去の膨大なデータに裏打ちされた原理原則を使うのが成功までの一番の近道といえます。
新しいテクニックや誰も知らない裏ワザに飛びつく前に、使い古されたようにみえる原理原則をしっかりとサイトに取り入れていく作業をすることが大事です。効果があることが立証されているようなものだからです。
例えば、
- 電話番号や問い合わせ先はどこに書くと良い
- メイン画像とキャッチコピーはどのように表現するべきか
- グローバルメニューの配置の原則
などです。
さらに突き詰めると、「コンバージョン=問い合わせ」として話しを進めていますが、最終目的は問い合わせのあとにある「成約」を得ることですので、成約率も上がるようなコンバージョンを増やすことを目標にするべきです。
コンバージョンと成約に繋がる集客力の高いウェブサイトの作り方については、別記事で書きたいと思います。
そんなサイトを作るには、まず数字で現状を把握することが大切です、というお話しでした。