士業事務所のweb担当が学んだこと

税理士事務所に勤めるウェブ担当者が日々の業務で学んだノウハウを公開するブログです。士業事務所の集客に使えるマーケティングやウェブ制作のノウハウを実際に中で働いているからこそ分かる視点を交えてお伝えします。

税理士事務所が低予算でリスティング広告をやってみた10ヶ月を振り返る

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2014年6月~2015年4月現在まで、税理士事務所でリスティング広告を運用してきましたので、その結果と所感をまとめてみたいと思います。

出稿はグーグルアドワーズのみ、1ヶ月の予算は3万円で運用しています。

 

これから、取り組もうとされている方の参考になれば幸いです。

 

グーグルアドワーズの成績 

月別にするとこんな感じ

日付 クリック数表示回数クリック率平均CPC掲載順位推定CV
6/1~6/25 89 10870 0.82% ¥315 4.2 0
6/25~7/24 107 12327 0.87% ¥304 4.1 0
7/25~8/24 94 11595 0.81% ¥370 4.1 2
8/25~9/24 76 7340 1.04% ¥361 4.1 4
9/25~10/19 88 8217 1.07% ¥291 4.1 0
10/20~11/19 113 8886 1.27% ¥265 4.4 2
11/20~12/19 75 7309 1.03% ¥399 4.4 2
12/20~1/19 96 8946 1.07% ¥335 4.5 0
1/20~2/19 89 7130 1.25% ¥314 4.5 2
2/20~3/19 83 7763 1.07% ¥364 4.1 0

 

2014年6月~2015年3月までの合計

クリック数表示回数クリック率平均CPC費用掲載順位推定CV
895 88945 1.01% ¥328 293328 4.2 12

 

リスティング広告の顧客獲得単価について

これに加えて、推定コンバージョンに計測されていない、電話コンバージョンがある感じです。

 

未計測のコンバージョン含めて、30万円で15件の問い合わせを獲得したとすると、1件あたりの獲得費用は2万円。

 

得られる粗利について、税理士のビジネスモデルですと、通常1年間は契約が継続しますので、年間の粗利で考えてみます。

 

そうすると、問い合わせ1件あたり2万円はなかなかお安いと思うのですが、どうでしょうか。

 

問い合わせから成約に至るまでの成約率がどれくらいになるかにもよりますね。

 

成約率は10%~30%くらいが標準だと言われているようです。ランディングページでの訴求にもよると思うので、一概には言えませんが。

 

当事務所では、想定の範囲内で収まっております。

最初の3ヶ月は最適化作業で忙しかった

数字にも現れていますが、最初の3ヶ月は最適化のための作業がたくさんありました。

 

アドワーズの管理画面で行った主な最適化作業はこんなところ

  • 不要なキーワードの出稿停止
  • 除外キーワードの追加
  • 入札単価の調節
  • 広告文の最適化

結果として、クリック率が改善され、品質スコアも上がっていきました。

 

改善の効果は、8月~9月にかけての表示回数とクリック率に現れてます。こうして時系列でデータを並べてみると面白いですね。

 

アドワーズ管理画面外では、ランディングページの改善を行いました。

不要なキーワードの停止について

300キーワードくらい登録して、4月現在で稼働しているキーワードは、200弱くらいです。

 

アドワーズに登録する前のピックアップの段階では1000以上のキーワードをピックアップしましたが、ある程度効果が望めるものを最初から厳選して登録しました。

 

今から考えると、3万円という予算で行うのであれば、最初からもっと絞り込んでも良かったと思います。

 

稼働させながら、

  • クリックはされるがすぐに離脱してしまうようなキーワード
  • クリックもされず、品質スコアが低下したキーワード

を停止していきました。

 

除外キーワードの追加

不要なキーワードの停止と合わせて、除外キーワードの登録も行いました。

 

士業事務所だと税理士以外にも広く当てはまると思うのですが、士業を目指す人や就職したい人の検索ニーズが結構多いです。

 

そういった問い合わせに繋がらないキーワードを特定して除外キーワードに登録していきました。

 

入札単価の調整

入札単価の調整はキーワード個別の事情を考慮して調整していったので、表現し辛いのですが...

 

  • コンバージョンに繋がるキーワードの入札単価を上げる
  • 停止するほどではないが、コンバージョンへ繋がり辛いキーワードを下げる

 

基本的にはこの考え方で、調整しました。

 

コンバージョンに繋がる主力キーワードはなるべく掲載順位1位を狙うべきだと思いますが、あまりに高騰しすぎていたら、3位に落としたり、調度良い落とし所になるよう調整しました。

 

広告文の最適化

運用開始して1ヶ月足らずで品質スコアが下がっていったキーワードがありました。

 

そういったキーワードに対して表示されていた広告文をどんどん変更していきました。

 

短期間でスコアが下がっていたので、A/Bテストはしませんでした。現状の広告文がよろしくないのは明白でしたので。

 

そこで感じるのは、やはり検索キーワードをタイトルに含めることの重要性です。クリック率と品質スコアへあたえるインパクトは大きかったです。

 

どうしても、タイトルに入れられない場合は広告文に含めるようにしましたが、効果はあるように感じました。

 

ですが、タイトルに含めた広告文の方が明らかにクリック率は高いです。

 

4ヶ月目以降は安定してきた

運用1ヶ月目からコンバージョンはあったのですが、4ヶ月目以降はコンバージョンもその他の数値も安定していました。

 

ただ、季節的な要因もあったとは思いますが、予算のコントロールが難しい場面がありました。予算コントロールについては今後の課題の一つとして後述します。

 

10ヶ月運用してみて、わかったこと

パターンがつかめたこともあるし、今後の課題として残っていることもありますが、10ヶ月間リスティング広告を運用してみてわかったことをまとめておきたいと思います。

士業は商圏ビジネス。主力は地域名キーワード

ウェブを使えば、日本全国、世界各国に情報を届けることが可能ですが、士業事務所の多くは商圏型ビジネスです。

 

税理士であれば、だいたい20km圏内くらいが対象になるでしょうか。それより遠くの人にアピールしようと思ったら、集客の難易度は上がります。

 

チラシやDMのようなアナログの集客方法だけでなく、リスティング広告のようなデジタルな広告でも、お客さまは近くの士業事務所の方が依頼しやすいと感じるでしょう。

 

逆に言うと、事務所が立地している地域の近くで、仕事を依頼できる士業を探している人を狙って広告を出稿するのが効果的とも言えます。

 

リスティング広告では、アプローチする地域を絞る方法は2つあります。

  • 地域名を入れたキーワードで出稿する
  • ターゲット地域を設定する

 

運用してみてはっきり分かるのは、地域名を入れたキーワードがコンバージョンの主力になるということです。

 

当然、ライバル達もそれは分かっているので、クリック単価は高騰しがちですが、地域名キーワードには、多めに予算を投入した方が良い結果となっています。

 

当税理士事務所の立地情報

ちなみに、当事務所は南関東に事務所を構えています。事務所がある市は人口10万人程度ですが、隣接している市の人口が大きいので、20km圏内人口は50万人くらいあるかもしれません。

 

商圏は20kmに設定して、圏内に含まれている地域名について広告を出稿しています。

 

やはり、事務所所在地から近ければ近いほど、クリック率やコンバージョン率は高いです。

 

ですが、同じくらい都道府県名でのコンバージョンも多いですね。

 

Googleのパーソナライズド検索が有効に働いてるってことなんでしょうか。

 

モバイル対応も必要

BtoBで高額な商品はモバイルで成約しづらいと言われています。士業のビジネスはこれに当てはまる場合が多いと思いますが、それでもモバイル対応はやるべきだと感じました。

 

実際、アクセス解析やリスティング広告のクリック数を見てみても、モバイルの割合は一般的なウェブサイトと比べてそんなに高くはありません。(25%くらい)

 

25%ということは4人に1人はモバイル端末からアクセスしているということですから、この数字だけみてもモバイル対応はした方がいいとも言えます。

 

昼間モバイルで検索して、夜にゆっくりPCで。という人もいるかもしれません。

 

なにより、実際にコンバージョンがあったので、モバイル対応は必須だと感じました。

課題その1 コンバージョンの測定精度

コンバージョンの測定精度をもっと高めなければと思っています。

 

問い合わせがあったら、どのキーワードからアクセスしてきたのかを測定したいということです。

 

問い合わせに繋がるキーワードは入札単価を優遇し、繋がらないキーワードは予算を減らしたり、出稿を止めたりして、予算消化の効率を高めたいわけです。

 

メールフォームからお問合せをしてもらった場合は、いつ、どのキーワードからアクセスした人がアクションしたのかが、自動的に記録されます。

 

 しかし、現状では電話でお問い合わせを受けることが多く、測定が難しい場合が多いです。

 

測定できないパターンは2つあります。

  • どのキーワードでアクセスしたか、わからない
  • 問い合わせがあったことを記録に残せない

 

電話で問い合わせを受けた場合、ウェブサイトを開いたままであれば、バックスペースで検索画面まで戻ってもらうことで、検索キーワードを特定することが可能ですが、実際はこれをやってもらうのは困難です。

 

また、問い合わせがあったこと事態が、Web担当者の耳まで届かないことが多々あります。

 

Web担当者が不在の時だけでなく、電話を受けた者から報告がないパターンもあります。無料で質問だけしたい人からの問い合わせなんかがスルーされがちな印象です。

 

私が気がついてない問い合わせも結構ありそうだなーという印象です。

 

課題その2 予算消化速度のコントロール

目標のコンバージョン数は確保できていたため、特にアカウント構造をいじるようなことはしませんでしたが、想定よりも早く予算を消化していまうことが多いのが課題です。

 

 もう少し最適化の余地があると感じています。

 

また、1月後半から3月まで予算の消化は倍速でした。

 

これは確定申告需要があったためだと思いますが、確定申告向けのキーワード以外もクリックされていて、コントロールが難しかったです。

 

もう少し1ヶ月間の予算消化のペースを平坦化する技術を身に付けたいなと思っております。

 

まとめ。リスティング広告は使える!

士業関係のキーワードは高騰しがちで激戦区になっているかも知れませんが、ちゃんと運用すれば使える集客手段だなと感じます。

 

税理士業界で言うと、税理士紹介サイトのような業態とリスティング広告で真っ向勝負をしてしまうと、クリック単価がえらいことになりそうですが、工夫次第でなんとかなります。

 

問い合わせ獲得にかかった費用をみてもらうとわかると思うのですが、紹介サイトに登録するよりは効率的かと思います。。

 

詳しく知りませんが、年間顧問料の半分くらい成果報酬で支払うところもあるらしい((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

 

あとは、ちゃんとコンバージョンするウェブサイトを作れるかどうかが大事だと思います。

 

以上です。長文お疲れ様でした!